虹始見

３６５日

BＡの絵手紙🌟歳時記

４月１６日

虹始見（にじはじめてあらわる）

夜中、うがいをしていたら

ノドが痛いと？

加湿器持ってこようか

なんも言ってないのに

さりげなく朝、加湿器が置いてある

乾燥すると

すぐ　やられるから

ありがたい

持って来てくれたのは

入院した日に

一悶着あった　あの看護士さん

あれからすぐ

他の看護士さんもだけど

あたしたちは

たわいもない

いろんな話をしてきた

回診では

前のベッドのおばあちゃんに

社長！ご気分はいかがでしょうかと

ドクター

そんな部屋の

ステキな相棒たちは

昭和１０年台の　人生の

大ベテラン

きのう、

仕事終わって

洗濯、水まきしてから

病院へ届けものしたりおん、

ＧＩも　帰ってきたから

お父さんが持ってくればいいやんと

言ったけど

給料もあり、りおんがきてくれた

それがだ、

りおんから着いたよの

電話を切ったつもりが

きれてなく

きょーは　お父さんに来て欲しかったとに

しゃんむり　娘がくるとですよ〜と

半分　じまんのつもりの

ことばを聞いて

怒り心頭なりおん！

それを　引き金に

カイトが　遅いのに腹が立って

大爆発！！

うわぁ〜

退院せないかんばいーと

気を揉んでいた

どうしたのー

と　60過ぎの看護士さん

そりゃいかん、

男と女は　仕事が違うとだけん

やっぱり女が合わせんといかん

それが嫌なら

給料安いとこに転職して

たちまち　生活苦しくなるよ

まして

親と住んでれば

経済的にも　世話も半減するとに

ちょっと　そこをわからんといかんねーと

言われると、

今の時代、おなじ働いているのだから

どの仕事でもだいじだし

結局、りおんが職場に頼んで

迎えの時間に間に合うように

融通してもらったわけで

お父さんも

帰ってから

洗濯物たたみ、掃除し、子どもたちの世話しながら風呂に入れている

いちばん、大変な時間帯にいない

カイトにイライラすることを

言っているわけで。

カイトが　わざとダラダラ遅くなっているわけじゃないけれど

その大変な時間を知らずに

帰ったら　ごはんができて

なにごともなかったかのような

食卓で　平気な顔されると

そりゃあ、誰だって腹が立つただろう

声かけ、想像力の問題もある

こうして、言われるとハッとする

　しかし、りおんが

怒れば　みんなイライラ

子どもも　だまる

　

あたしが、心配すれば

あたしに　心配せんで治すことだけ

考えろ!家のことは　俺だってやるぜ！と

ほんとうにやってる

お父さんの

怒りに火がついたら

取り返しがつかないぞと

こりゃあ

どうなることかと

心配でたまらなかった

りおんが

お父さんが

仕事しながら

家のことまで

がんばっているのに

怒ってしまえば

もったいないのに

盛り上がっている

部屋にもどると

フェイスタイムの電話が鳴った

どうしよう

部屋を移ろうか

病室の

笑い声にかき消されるかと

でんわをとる

食卓が映し出された

なんのはなしか忘れたけれど

ラーメン食べよると？

うん、今日はハヤシライスの予定だったけど

しきらんだった

日曜日でよか？ってきいたら

よかぜ、オレがつくってやろーと

お父さんが言ってくれた

もう、時間も８時過ぎだ

頑張りすぎんで

がまんせんで

怒るまえに　言っていいとよー

来週お父さんが

現場宮の陣で　それから会社に帰るけん

しばらく遅くなるって言ったけん

それで　カイトもおそければ

どうするんやって

不安とだろう？

誰にしゃべりよっとや？

オレや？

そうたい！

だけん、申し訳ないけど

いま、お母さんが入院して

家がまわらんけん

そのまま宮の陣から

帰らせてもらえんどかって

おねがいして欲しいって

言えばいいとよ

無理ならまた　かんがえる

みんなで

かんがえるとよ！

オレや？

いいぜ！

社長に言う

ほっとしたりおんの顔が浮かぶ

お父さんがしてくれとること

助かるとよと

りおんがはなしだし、

かいとは！

カイトはどうしたらいいと思う？

と　カイトにカメラがむいて

やっとしゃべりだす

自分も　早く帰れない日もあるんで

お父さんやりおんに負担をかけるぶん、

自分がやれることは

野菜を切ってタッパにいれとくとか

あさ、早い時間が大変だから

交代して弁当つくるとか

しようと思ってます

この頃には

部屋の番人たちも耳をダンボに

やりとりをきいていた

やっと画面にみんなの

笑顔がみえだした

よか！

あしたから

入院バッグのなかに

キャベツと玉ねぎと

まな板と　包丁と

タッパば持っておいで！

ここには料理のプロがおるけん

みんなで切って

もたせるけん！

　

ワッハッハ〜

こんばんは〜

画面に向かって

おばあちゃん！！

かわるがわるに　ご挨拶ー

そうたい

ちゃんと　1人づつ

ベッドにテーブルまでついとるけん

どぎゃーんことなかばい！

まかせんね！‼️

おねがいしまーす！かわるがわる

電話越しに

笑い声

あんね、

こうして　しかしか

応援してくれる人が

ほんと、多いとよね、うちは

でもね、なかには

お母さんがおらんなら

でけんでけん

すぐケンカたい

ザマーミロって　思う人もおるばい

どやんね、

ザマーミロって思われること

しよらんど！

なら

我慢して爆発せんで

言葉にして　頼りにして

相談するばい！

うんうんっと

まわりに支えられ

生きている

うん、

お母さんが　おらんと

こんなに大変とは　思わんだった

いろいろやっとったんやって

いまわかると

りおんがニコニコした

やっと　らんらんあおちゃんの

顔がカメラの画面を占領しだした

よかった

さあ、

我が部屋の　大御所たちは

いまかいまかと

野菜がくるのを

腕まくりしている。